一人その場に残されて
「好きな人が、できたんだ」
思えば、僕は彼に、こんな風に笑顔で好きだと告げられたことが無かった。
なんだか喉の奥が乾いて、目がしぱしぱする。
「は、ぁ…」
僕は要領の得ない曖昧な回答しか用意できない。
ソレにもかかわらず、彼は酷く機嫌が良かった。
彼は喋り続ける。
けれどその言葉は右から左へ、あるいは左から右へと抜けて一遍も僕の心に残らない。
ああ、そうだ。
僕は別に彼の恋人でもなんでもなかったんだっけ。