あいのかたち


もしかなうのならば、彼の子供がほしかった。
今はもう叶うことのない望みだったけれど、彼の心も、体も、何一つとして僕のものにならないのだと知った瞬間に、僕は。
それでも、彼をたまらなく愛していたので。
それならせめて、彼の遺伝子を持った彼の子供が欲しかった。
僕との、なんて無茶苦茶なことは言いません。
彼の愛した彼女との子供でも、あるいはその辺の(無理やり宛がわれた)愛人との子供だってかまわないのです。
(嗚呼、けれどどうせならあの能天気な女が相手ならいい)
たとえ半分だろうと、彼の遺伝子が入っているというのなら、それでいい。
彼に似ている男の子ならば一番いい、女の子だって、別にかまわないけれど。
そうしたら、攫って、育てて、全てをかけて愛しみ、僕だけの”彼”にする。

”代替品”なんかじゃない、僕の脳内に覚えある限りの”彼”を造る、想像するだけでクラクラする。
終わりの無い永遠を作り出すことになんらためらいは無い。
彼がいい、彼でなくては駄目だ。
頭のてっぺんから足の先まで、知り尽くした彼がいい。
思い出すだけで、口腔内に唾液が溜まる。
とろとろと流れ落ちるそれを、ぬぐって欲しいのに。

彼が、いない。