きみのためのいちにち



ああ、例えば。
このたった一日のために身を窶し、自虐的なまでに尽くすのは総べて君のためであるのだと直接伝えられたらどんなにか。

「つなよしくん」

ただ一言、名前を呼ぶ声だけがぽっかりとその空間に浮き上がる。
いっそ不自然なまでに、それはその場所になじんだ。
感触をさえぎる革の手袋越しにでも、石の冷たさが伝わってきてなんだか寂しい。
慰撫するように触れてみても、何か反応があるわけでもない。
わかっている、理解はできている、ただそれが腑に落ちないだけ。

なんで、君は死んでしまったんでしょうね?

誰に聞いてみても、答えをくれない。
だから僕は、静かに君が眠っているその丘(他にはなにもなくて、ただただ寂しいだけのその場所、ぜんぜん、ちっとも、君ににあわない)を、くるくると徘徊しては首をかしげる。
なぜ、となりにいてくれないのか。
問いかけるように、つめたい石を何度もさする。
何度も、何度も。
これが毎日のことだから、もう、飽きてしまった、けれどやめない。

365の内の、一日だけが例外で、例えば、そんな日に限って涙を流してみる。
例えば、例えば、例えば、仮定の、話ですけれどね。
ほんとに、ほんとの。たとえばなしで。

たんじょうびなんだ、って、そういって君が笑ったあの日だけ。



ぼくが きみを ころした こと を、 おもいだす。