召喚願望
ふと、強い力に呼ばれたように振り返る。 ざぁ、と空気が音を立てた。 変質するのは自然そのもので、ゆがめることもなく異界の扉を開く。 耳元で、風の音がする。 些細な音ですら鮮明で、それはとても心惹かれるものだった。 彼女は普段よりも落ち着いた声で、同胞を呼ぶ。 鬼王ですら、彼女の声に喚ばれるのだから、それはどれほどまでに魅力的な囁きだろう。 つい、と。 指先が運ぶ軌跡。 一瞬のざわめきの後の轟音、煌きの余韻。 彼女は強く、その魂は清廉で美しかった。 自分もあの声に喚ばれたいと、魂がそう叫んでいた。 「セイロン」 彼女の声に、縛られたい。 彼女はとても強いから、そう易々とは護られてくれないだろう。 だから、護る理由が欲しいのだ。 彼女の側にある理由が、欲しいのだ。 |