鋼鉄乙女
| ダメだ、私じゃ勇者にはなれない 「ぶん殴ってやれば、よかった!!」 涙が出た、けれど潔く泣けないのは私が弱いせいなのだと思った。 ろくな距離を走ったわけでもないのに息が上がる。 自分の声が耳障りで仕方がなかった。 吸い込んだ夜の空気は寒くもないのにひどく痛かった。 振り返って、飛び出してきてしまった宿を見る。 フェアは追いかけてきてはくれない。 当たり前だ、フェアはちゃんと自分の性格を分かってる。 今、何かフェアに言われたってどうせマトモに言葉なんて出ない。 けど、フェアのなかであいつに負けたみたいで、くやしい。 くやしい。 「姉さん!こんな遅くまでフェアさんのところにいたの?」 「アンタがそんなんだからフェアをとられちゃうのよ、馬鹿!!」 「え、ちょ…姉さん!!」 あたしと、ルシアンと、フェアの三人で。 ずっと一緒だと思ってた。 変わらないものだと、ばかり。 やつあたりだ、分かってる。 くやしくて、くやしくて、たまらない。 「やっぱりアンタになんて任せらんない!絶対取り返してやるんだから!」 勇者にはなれない。 なんて弱音、あたらしくない! あのいけ好かないドラゴンから絶対、絶対奪い返してやるんだから! |