早々に、頬に感じる熱と、すぐ後から追いかけてくる痛みに予想はしていたものの、なんだかいたたまれない気分だ。

「なん、っで、なんで、そんなこと、言うのよ…?」

戸惑いばかりが渦巻く瞳が、涙に濡れていた。
頬を張った手ま未だに震えていて、それがなんとも物悲しい。

夜明け前の部屋に、星や月以外の光がゆるやかに訪れようとしていた。
静謐な空気はどちらかと言えば好むほうだったが、今ばかりはこの身に染みた。
彼女の涙はすべてを溶かす雨となり、この空気のようにこころを締めつける。
辛い、苦しい。
そんな思いを、抱くのは。

ずるい、と、分かっている。
だからこそ、易しくない告げ方で、言わなければならない。

「愛しているよ、フェア。だから、今日でお別れだ」

やさしくなんてない、ちっとも、やさしくなんか。
本当は、何も告げずに去ることも出来た。
それをしなかったのは、女々しい自分の心ゆえだ。

それでも、さよならを告げなければならなかった。
でなければ、諦めようが無い。
自分から手放した、その事実だけがあれば良い。


彼女を過去にするための、優しくない、易しくない。
最初で、最後の、告白だった。