どうしてだろう、夢なのに。
こちらのほうが、よっぽど現実味があるの。
幸せだって、そう思うの。
それは、いけないことですか?

「ねぇ、フェア」

呼びながら、指を絡ませる。
自分と同じくらいの年の、女の子の指。
細いけど、料理をしているせいか少し骨ばって、皮の厚い、手。
今まで、こんな手に、温もりに、触れたことがなかったから、初めて触れたときには少し驚いた。
けど、とても優しくて、暖かい手で、こうするたびに幸せになれた。

なぁに?

そうやって、聞き返す声も、すき。
色とりどりの花畑も、今は香りが強く感じられるせいか頭がクラクラする。
ぼんやりとフェアの顔を眺めていると、夢の中の夢のように、浮かれてしまう。
ずっとこうしていられたら、いいのに。
そんな言葉を飲み込んで、笑った。

「ううん、なんでもないの」

フェアがいつも話すたくさんの友達も、こうやっている間のフェアなんて、知らないもの。
私だけが知ってる、フェア。

だから、今はこれだけで我慢。
今は私だけの、フェアだもの。


二人だけの秘密の花園で、また、いつか。
会えることだけを、祈って。
だから、さよならなんて、言わない。
またね。
夢の中で、そう、何度も繰り返す。

また明日、会えたらいいのに。
目覚めるたびに、いつも、思うの。