たとえば、私を思っての、ことばじゃなくても。
(例えばギアンが言ってくれる、安心できる言葉のように)
フェアの言葉の一つ一つを聞くだけで、私は救われた。
今も、救われている。
彼女の明るい声が耳に入るたび、もっとずっと聞いていたくてすぐに何度も頭の中で反芻した。
どんな話だって、フェアが話してくれるから、嬉しいし、楽しい。
くるくるくるくる、頭の中で言葉が回った。


「エニシア?」


そうやってぼぅっとしていると、心配してくれるから。
ついつい私はそんなフリをする。
どこか具合がわるいの、だいじょうぶ?
そんな風に言ってくれる彼女は、やっぱり優しい。
フェアの手が額に触れて、私はそんなことにさえ嬉しくて、なんだか胸がどきどきした。
こういうのって、なんだか、はじめて。
心配させてはいけないな、と思うけれど、フェアが私を心配してくれているということが、嬉しくて。


「熱は、ないよね?」


離れていくフェアの手が、名残惜しい。
夢の中にもあるこの温度が、恋しい。


「フェア」


だから私は、フェアの手を取って。


「ありがとう、だいすき」


夢なのに、夢だから、覚めてしまう、幸せ。
こんな綺麗な花畑は、いらない。
フェアだけがいてくれれば、私はそれだけでとっても幸せ。
フェアの笑顔の方がずっと綺麗で、見ていたいとおもうのだもの。
ずっとずっと、いっしょにいたいよ。

目の奥が白むような感覚に、私はさらに熱を感じた。
泣かないって、約束だもの。
『またね』って、言ってくれても。


さよならするのが、つらいの。












会いたい逢いたい、あなたにあいたい
私からあなたを奪う朝が嫌いになりました
大嫌いだった一人の暗闇も怖くなんてないの


今はただ、あなたに会えない夜が、哀しいだけ。