前田家から送られてきたお歳暮をあけると、そこにはちっさな風来坊のダンナがおりましたとさ。




〜一緒に花見〜
(さすけい)




「んあ?」

あ、と思ったときにはもう遅い。
春のやわらかな風に吹かれて、桜の花弁がひらひらとふってくる。
つい、と真っ赤な杯になみなみ注がれた酒にも一枚、二枚。
覗き込むようにして首をほんの少し伸ばした瞬間。

ぼちゃん!

言うほどに大きな音ではなかったけれど。
それにしたって手に乗るほどの大きさしかない慶次にとっては、大問題だ。

「う、あー」

「あーあー、何やってんだよ、酒好きなのはいいけどさぁ。害されないようにしてよ」

「や、もうだいぶ無理かも」

頭から落ちたせいで全身酒まみれ。
酒は好きだが、こんな状態ではあまり嬉しくもない。
一度でいいから浴びるほど飲んでみたい、という輩がいるのならぜひ一度実践してみるといい。

だいぶ、きついから。


「ほら、こっち来なって。ぬれたままにしとくと気持ち悪いだろ」

「・・・おかーさんだ」

「、なんか、いったかな?」

すぐそこまで来ていた佐助の手が引っ込んだ。
ちゃんと聞こえてるくせに。

「なんでも、ないです」

頭からつま先までぐしゅぐしゅに濡れてる上体で放置なんてされたくない。
はぁ、とため息をついて差し出された手のひらに腰掛ける。
何処から出てきたのか、綺麗に折りたたまれた手ぬぐいでぬぐわれた。
指先についていた水滴をぺろ、となめた。

「酒の味ー」

当たり前だけど。

「ん、どれ」

「は?」

なまぬるい、おんどが。
ぐ、と頬に押し付けられた。


「ほんとだ」

「・・・・佐助」

「何?」

「・・・・・・・・・・ばか」



なんだか、悪酔いしたみたいだ。