「・・・・・・以外とあっけなかったな」
普通の高校生ならばまず体験することの無い、長く辛い幻のような日々の中で過ごした日々。
終わりを迎えてもう数ヶ月たつ。
「今ならアンタがああした訳がわかる気がするよ」
あのころは、昔は浮かべることの出来なかった笑みで花束を捧げる。
無機質な石で出来た、生きていたという証。
「兄貴・・・・・っ」
笑いながら泣くように語り掛ける。今は亡き愛しき人に、
「けど・・・・・どうせなら・・・もっと方法があっただろう・・・?」
神のような存在、少なくとも自分にとっては唯一にして絶対の神だった。
初めて自分を愛してくれた、忘れられないように刻み付けて心に消えない跡が残るように、
「なんで・・・・・俺をおいってったんだよ、兄貴・・・・・・清隆」
一生消えない傷と悲しみを背負って一人で生きていけるとでも思ったのか?
なあ、知ってるだろ?
もう、アンタなしじゃ生きていけないんだ。
アンタがいない世界なんてオレにとっては何の価値もないんだ。
笑えるようになったって寂しさに押しつぶされてしまいそうで怖いんだ。
全部ニセモノみたいで嫌なんだ。
他人になんと言われようとこの価値観は変える事が出来ない。
神によって植え付けられた感情の全て
今こうして微笑んでいることさえすべてはアンタの為で
やりたかったことはやり終えた。あなたの好きな菖蒲の花を携えて墓参りも今終わった。
これ以上やるべきことなんてない。
どうせこういう終わり方をするって、あんたは分かってたんだから、
だから、もう。
「もう・・・・死んでもいいよな・・・・・・・・・・?」
それさえも、きっとアンタは予想してただろうから。