こねこねこねこね・・・・・・・・・・
そんな感じの擬音を立てながら、月の手のひらの上では薄い黄色の生地が丸められている。
台所に立つ男性は今現在の日本には決して多いとはいえない。
そのせいだろうか、月が何のかざりけもない真っ白なエプロンで台所に立つ様はとても新鮮に思えた。
容姿、勉強、運動に次いで料理までできるとは・・・・婿に欲しがる女性も少なくないだろう。
「・・・・・・・・竜崎、そんなに凝視されると集中できないんだけど」
「いえ、お気になさらず」
ちなみに竜崎は是非嫁に欲しいと思っているうちの一人である。
今もエプロンにフリルがついてたり、エプロン生装備だったらいいなぁ・・・・と密かに思っていたりする。
真顔で恐ろしいことを妄想・・・・もとい想像する彼は正真正銘のへんた・・・・変人といえよう。
「ところで、何を作っているのですか?」
「ん?パンだけど・・・・・・」
手のひら大に丸められた生地は黒の鉄板の上に均等に並べられている。
「・・・・・・・・・・・それは何ゆえに?」
「だって今日は九月十二日だろ」
壁に掛けられたカレンダーには赤い丸印がついている。
その横に小さく『Birthday』と書いてあるのだが・・・・・それとこれとどのような関係があるのだろうか。
「誕生日なんですよね?」
「ああ、管理人が日々お世話になりっぱなしのあの人の誕生日だね」
※ちなみにここのデスノサイドの来訪者の三分の一は彼女のサイトからのご来訪である・・・・・。
「・・・・・・・・・じゃあこのパンとの関係は?」
「なきにしもあらず」
なんだそりゃ。
「だって今日はパンの日でもあるからね」
※ちなみに豆腐の日でもある。
「・・・・・・・・・・はあ」
パンの日にわざわざパンを手作りする必要があるのだろうか。
とりあえず、月お手製のパンはおいしそうだったので竜崎はツッコまずに焼き上がりを待つことにした。
Happy birthday to esu