私の国の神々、みな血には目がない
年に2回、若者5人と娘100人を私達は生贄に捧げる
どうやら、それでも足らぬらしい
神々は相変わらず我々を苦しめ続けているからな
「サロメ」 オスカー・ワイルド
それはまるで奇跡のようだった
犯罪者を狩る犯罪者。
無敵の『神様』 キラにかかれば場所や方法なんかに関係なく人を殺せる。
世界中を騒がせる神のような存在に惹かれるものは少なくない。
キラが殺せば殺すほど、表立った殺人者は姿を消した。
キラを恐れてという理由もある、そして広大なネットの海でキラの信者と化し念密な殺人計画を立てるもの達がいることもまた真実であった。
犯罪者の中でも、特に快楽殺人者達はキラの熱狂的な信望者で有りもしない偶像を夢見て掲示板に文字を綴る。
お粗末な政治評論家のような勝手な解釈が繰り広げられるその場所は完全な無法地帯で、興味本位で犯罪者と名乗るもの、本物の殺人者との両方が入り乱れ常識はずれな会話をあきもせずに続けている。
話題に必ず上るキラの話。
一体どんな人間なのか。
男なのか、女なのか。
都市伝説と化したミュージシャンの一説のように両性だと根拠も無く喚きたてるものも居た。
「・・・・・・・・・・・・馬鹿馬鹿しい」
薄ぼんやりと光るディスプレイを指ではじいて、下世話極まりない文字の羅列に心から呆れた。
二次元の世界の妄想になど興味は無い。
キラがどこか狂っているのはあながち間違っては居ないだろうが、セックスサディストのように善良な仮面の下に混沌とした欲望を抱いているとは思えない。
歴史的な殺人者が神格化されるのは珍しいことではないが、近代でのそれはありえない。
常識を覆すキラの行動は罰せられるべきはずの物ではあるが、キラ以上の力を持つ断罪者が世界にも片手で足りるほどしか居ないということも狂った傍観者達の興味を煽っていた。
873 :名無し :04/08/03 23:16 ID:*****
>キラを神格化する気は無い、この感情はまるで恋のようだ
>万人を魅了して止まない、あの天性の死神に私たちは恋をしている
そう、恋をしている。
自分の思いを勝手にぶちまけるだけの場所で、その文字はいやに目を引いた。
気付けば手が勝手に動いていた。
874 :L :04/08/03 23:28 ID:*****
>873
>同感、けれどキラは私だけを見る
>他の誰かには渡せない
あの美しい死神は自分だけの物。
殺しても殺しても満たされないのなら、自分がそれに勝るものを与えよう。
貪欲な自分は、貪欲な彼を求めるだろう。
なんてちっぽけな独占欲。