とても綺麗な人だった。
外見も、中身も。
名前のように、この都会にぽっかりと浮かぶ孤独な月のような人だった。
私を見つめる目は笑っていたけれど、温度の無い冷たい瞳だった。
それでも私は彼が好きで、利用されて、結果殺されたとしてもそれでよかった。






『あんなヤツの何処がいいんだ?』





レムはよくそう言った。
そのたびに私も同じ答えを返した。





『だって、ライトはとっても綺麗なんだもの』





心が、澄んでる。
だってその心の中にはただ一つの想いしかない。
邪念が一切無い、目的に向かって策略をめぐらせる彼は研ぎ澄まされたナイフのような美しさを放っていた。
ただ犯罪者を消すためだけを考えている。
孤独な貴方。


一人ぼっちで、寂しくても、ライトはずっと綺麗なままだった。
私が傍に居ても、リュークが傍に居ても、ライトはずっと一人みたいなものだったけど。








「・・・・・・逢いにいこう」








きっと彼はいい顔をしないだろう。
私なんて邪魔なだけ。
でも、憎しみでも、怒りでも、感情があるうちは壊れない。
狂っても、きっと壊れない。
だから、逢いにいこう。





きっと私の命は長くないだろうな。
取引の差し引き分にしても、ライトのことにしても。
ライトは・・・・・少しは役に立ったって思ってくれるかな?
馬鹿な女だったけど、役には立ったって言ってくれるかな?







どうせ死ぬなら、ライトに殺されたいな。








大好きな貴方。
ずっと綺麗なままで居て欲しいから、私はライトの傍に居る。
壊れずに、綺麗なままで。











夜の空に手をかざして、月を掴んだ。
どうかこの小さな願いが届きますように。