「月君月君、大変ですよ!」


「・・・・・・その始まり方は別シリーズとかぶるから止めてくれ」



「それは言ってはいけない約束です」



なんのこっちゃ。













今日もちまっといってみよう


















「それで?一体何が大変何なんだ?」




生物学を全面的にナメまくった身体になっておきながら今更何が大変なのか。
コイツのいう大変はそれほど重要な事柄でないのが大半である。
よって月もソファに寝転がりながら雑誌に目を通しながら軽く返事をした。





「見て分からないんですか・・・・・・?」




っていうか見てないから、彼。





「月君ってば!」





退化してから一週間。
最近は口調も随分見た目相応になってきたなぁ・・・・と松田は別部屋で傍観していた。

氏、曰く。


「だって疲れるんですもん」



どこのダダっこだ、社会人。

松田はワタリの煎れた日本茶を啜りつつ、醤油せんべいを手に取る。
たまには和風もいいもんだ・・・と彼がしみじみしている横でワタリは監視カメラの映像を録画・編集している。
DVDには一つ一つ几帳面な字で書かれたラベルが貼られていた。







L成長記録H。







・・・・・・・いつの間にそんなに録画しやがったんだ、老紳士。






パリパリパリ





せんべいを貪りながら画面を見つめる様はまるで昼下がりの主婦のようだぞ、松田氏よ。
現在も入院中の二名がこの場に居たら大泣きしそうな光景だったが、もはやこの生活になれつつあるのが現実だ。



月の服の端を小さな手で握り締めて、竜崎が片手をぐるぐる振り回している。
それでも月は手元の雑誌から視線を離さない。
明らかにわざとなのだろうが、いい加減にうっとおしい。




「なんだよ、もう」



「ですから・・・・っ!」


























「背が三cm伸びたんです!!!!」



























・・・・・・・・・・・あっそ。