日曜の朝。
いつもよりゆっくりとした時間で流れる朝は、とても心地がよい。
ベットの上で枕を抱きながらごろりと寝返りを打つ。
「・・・・・ん」
開かない目で手探りに携帯電話を探す。
先ほどから小さな音でアラームがなっている。
「はい、月君」
「ぅ・・・・・?」
手探りでなかなか見つからない携帯電話は、子供特有のソプラノの声が響くとともに月の手に収まった。
手に馴染んだ感触に薄っすらと目を開けてアラームを止める。
ほんの二秒の出来事。
それが終わると月はブランケットを被り直して再びすやすやと寝息を立て始めた。
「月君、月君。起きてください。もうお昼ですよ」
小さな手でゆさゆさと小刻みに月の身体を揺するが、閉じられた目は一向に開く気配がない。
長い前髪が頬にかかって、少し身をよじる月の姿はさながら宗教画の天使のようで美しい。
・・・・・・起きていると全くそう感じないのだが。
それにしても、どうやっておこしたものか。
今の自分は体が縮んでしまっていて力任せに起こすことは不可能だ。
どうしよう ああどうしよう どうしよう
竜崎は考えた。
折角の日曜に幸せそうに眠る月をどうやって起こすかを考えた・・・・・・末に。
「折角気持ちよさそうに寝ているのを起こすのも無粋というものでしょう」
それでいいのか竜崎よ。
―――― 2 Hours After ―――――
「・・・・・・・・・・・」
あまり広いとはいえないだろうシングルベッドの上の天使二人。
体を寄せ合って眠る姿はいっそ絵にした方がしっくりくるだろう。
「・・・・・・・お風邪を召されませんよう」
ワタリは床に放り出されているブランケットをかけ直し、柔らかな笑みを浮かべた。
―――――――――片手にビデオカメラを持って。