流れていく雲を、何ともなく見つめていた。
枯れ、朽ち果てた季節の空はまるで死んでいるようだった。
退屈は人を殺す。
実に人間心理の的をついた言葉だと、心のうちで小さく賞賛した。
常に非常識的な事柄を目で見聞きして猶、退屈は胸から消えない。
感情線はフラットのまま、心動かされる出来事などありはしない。
機械的に与えられた作業をこなすだけ。
深い思考に感情は邪魔なだけなのだろうか。
タコ足電線となったプラグの束を越えて、備え付けの戸棚にしまわれた菓子類を手に取る。
フローリングの床には薄型のノートパソコンが三台。
散乱した空の菓子箱を踏み潰して、また所定の位置へと戻るとディスプレイには黒い字が躍っていた。
いつもと同じ、筈だった。
先の事など知る良しもない。
遠くない未来に、自分が解決する問題の筈だった。
不穏因子。
早めに動くべきだとは思っていた。
陳腐な言葉でいうなら、運命とでも。
ディスプレイの文字を指で謎って小さく呟いた。
「・・・・・まるで死神だ」
死を司る神。
自らを神だと称する愚か者は世の中に掃いて棄てるほどいる。
しかし、この存在はもっと頼りなく、不確定な、それでいて絶対的な『何か』
存在を否定することすら罪のような、モノ。
いつか合間見える時がくるだろうか。
罪人を裁く残酷な死神と自分はいつか同じ舞台にあがるのだろうか。
どくん
ココロノウゴクオトガキコエタ