冷たい風が頬を撫ぜる。
吐き出した息は白く、しかしすぐに夜の闇に消えた。
ぼんやりと光る月光は町のネオンにかき消され、空はただ暗い。






午前2時






朝なんて来なければいいと、呟いてみてもやがて夜は明ける。
ゆっくりと、明るんでいく空は綺麗だけれどなぜか目をそらしたくなる。







「朝なんて」




こなければいいのだ。



もしもこの夜が続くなら。

このときが続くなら。

例えソレがまやかしであっても生ぬるい夢に浸かっていられたなら。






「・・・・・・・・」






夢心地。
幸せではないだろう。


けれど



不幸でもないだろう。







そんなことはもう分かりきっていた。


肌で


声で


体で






本能で





分かっていた。