2.目線



喜助さんの目線を辿れば、いつだってそこには黒崎さんがいる。
お店でダラダラしてても、寝てるようにみえても、真面目に机に向かっている時も、煙草を吸ってるときでも。
目線は黒崎さんのほうを向いている。
私の目線も自然とそちらにずれて、暫く黒崎さんを見ていた。
気付かれないようにそ〜っと。
気付かれても何か言い訳できるようにテッサイさんから預かったお茶菓子を持って廊下で待機。



「・・・・なにやってんだ?」



上から声が降ってきた、ジン太君だった。
まだお掃除終わってないはずなのになんでボール持ってるんだろう。


「・・・・・みてる」


今はあんまり話し掛けないで欲しいな。
黒崎さんに気付かれちゃう。


「あっそ」


意外とあっさり引いてくれた、めずらしい・・・・・・早くお外で遊びたかったからかもしれないけど。
とりあえずホッとして、もう一度部屋に視線を戻すと黒崎さんも喜助さんも居なかった。

・・・・・・どこいったんだろう?


喜助さんの目線の先、明日も観察してみよう。





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