雨上がり、暗雲とした雲が晴れるように。
晴れ晴れとして、けれど寂しい。
すぅ、と消える。
いつか、こんな日が来るとを分かっていた。
いつか、この時が来ることを分かっていた。
自分の存在がこの世のどこにもなくなってしまうということ。
人はこれを死と呼ぶのだろう。
ただひたすら、広い、広い大地を歩んでいく。
そこに感触は無く、色は無く、匂いが無く、ただ存在するだけのものだった。
しかし、それもだんだんと薄れていく。
霧がかかったように、視界が、もやに包まれていく。
自分以外には何も無い。
虚無、その中にいても何の感情も起こらない。
消えてしまうというのに、悲しみも湧かない。
この場所が、この存在が、消えてしまうのに。
『これが死ってもんなんだろうな』
ようやく理解できたその時、俺は死んだ。
誰に知られることも無く、誰に別れを告げることも無く。
最期の瞬間にまで頭の中に居座りつづけたのは、夏夕焼けみたいなオレンジ色だった。
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白の世界の崩壊