すぅ、とゆっくりと開く目と、自分の視線がかち合った。
閉じられた瞼の奥の瞳は、とても綺麗な紅茶色だ。


『どうやら気に入られてしまったみたいですね』


店主の声が随分と遠い、まるで霞がかったように。
夢の中のような、そんな気分だった。
とくん、とくんと自分の鼓動する音が聞こえる。
そっと、手を伸ばした。
小さな手に触れれば、温かな感触。
無表情に近い寝顔から、鮮やかに咲く花のような笑顔へ。
陳腐な言葉を使うなら。

これを、運命と言うのだろうか。