慣れないことをするのは、本当に体に良くない。






「っ・・・・っふあっ!」


「ホラ、声出したくてたまらないんでショ?別にアタシ以外聞いちゃいませんから思う存分鳴いてくれていいんですよ」


それが、嫌だから必死に我慢しているのに。
分かっているだろうに、意地悪く言葉で追い討ちをかける浦原を一護が睨み付けた。
それでも浦原は愛撫の手を止めない。
口をきつく引き結んでも漏れてしまう声を必死にこらえようと腹にグッと力を入れて耐えた。
一護の両腕は頭の上で浦原の右腕に押さえつけられている。
逃げようとしても、脚の間に体を入れられて上から圧し掛かられているのだからもう抵抗らしい抵抗は何も出来なかった。


「ね、我慢しないの・・・気持ちヨくなりたいなら大人しくしてないと」


生暖かい舌がねっとりと一護の肌を舐め上げた。


「ぃ・・・あああっ・・・・」


へその窪みをチロチロと下で舐められると一気に体の力が抜けて、一護は背を弓なりに反らせた。
くすぐったいような、もどかしいようなチリチリと焼け付くような快感が背筋を駆け抜けて、一護はきつく歯を食いしばる。
浦原は空いている片手で一護の太股に手を這わせて、時折切なげに震える一護のペニスに触れるか触れないかという所ばかりを弄繰り回している。
先走りの蜜をトロトロと零しているソレは今にもはちきれそうなほどに膨張している。
それでも直接的な刺激は一切与えられず、微弱な快感がだんだんと降り積もって蓄積されていく。


「も・・・・っ、やめろ・・・」

そこまで追いつめられながら一護の口から出るのは拒絶と、この行為を止めて欲しいと言う哀願だった。
そんな懇願に浦原はクス、と小さく笑った。


「止めて欲しい?嘘は駄目ですよ、黒崎さん。ここはもうこんなになってるのに・・・」


浦原が先走りを滴らせる一護のペニスにフッ、と息を吹きかける。


「ひゃあっ・・ああ、ぅ・・・・・!」


たまらず甲高い声を上げた一護に、浦原は満足気に微笑みかけた。
それにハッとしたように一護は青ざめた。

「別に気にしなくってもイイんですよ、外だからって気を利かせる必要はない」


外、ここは浦原の家でもなければ一護の自室でもない。
学校帰りに通る公園だ。
日が暮れて人気も無い公園は、小さな外灯の明かりだけしかない。
わずかな光に照らされた一護の姿は妖艶だった。
ベンチの裏の草むらに二人は横たわって、情事に耽っていた。
夜とはいえいつ人が通るとも分からない屋外で、こんなことをしているという背徳感。
それなのにどうしようもなく感じてしまっている自分が情けなくて仕方ない。
着ていた衣服はほとんど体にひっかかっているだけで、適度に焼けた健康的な肌が露出している。


「うっ、あんっ・・・・」


「イイ声・・・もっと感じて、黒崎さん」


「うら・・・はらっ!」


叫ぶような声に、浦原はいとおしげに目を細めた。
汗で肌に張り付いた一護の髪をそっとかきあげて口元に耳を寄せた。

「なんですか・・・?」

いいながら一護の手を戒めていた腕をそっと外す。


「もう・・・いいっ、から・・・・」


一護は目の縁を真っ赤にさせて、潤んだ瞳で上にかぶさる浦原を見つめた。
熱っぽい視線に、浦原は感嘆のため息を吐き出した。



「ちゃんと言わなきゃ、ね?」


最後の最後まで、言葉で苛め抜く。
その口から、確かな言葉として欲しい。
焦らして、焦らして、そうして得る快楽は至上のものだ。



「どうしてほしい?」


一護の太股に軽く爪を立てて、答えをせがむ。
深く、早くなっていく一護の呼吸。余裕なんて全然無い。
もう意地を張っていられるだけの理性も、思考も残ってはいなかった。

目の前にさらされた快楽を得るためにはどうしたらいいのか、一護は知っていた。


「挿れて・・・っ、ぐちゃぐちゃに掻き回して!!!」


普段の禁欲的な彼からは想像もつかない卑猥な言葉を、媚態を、教え込んだのは浦原だ。
そうすれば欲しいものを与えるからと、体に教え込んだ。


「貴方の、望むままにしてあげますよ・・・・」


掠れた声、その言葉を待ちわびていた。
余裕が無いのは一護だけではない。
こんなにも情欲にまみれた瞳で見つめられて、全身で誘い込んでおいて平静でいられる男なんているはずもない。

浦原は一護の片足を肩に担ぎ上げる。
一護の下腹部を濡らしている先走りを掬い取り、腕まで垂れてくるそれを一舐めする。
浦原は普段は他人の目にさらされることのない一護の秘部に指をプツリと突き立てた。
指一本の刺激を必死に追おうとして、一護は小刻みに体を揺らした。


「は、やくっ・・・!」


「そんなに焦らなくても、ちゃんとして上げますよ。でもちゃんと濡らして慣らさないと痛いですから・・・」


言うと、浦原は服の袖から小さなボトルと取り出した。
琥珀色のトロリとした液体が、揺れる。
蓋を歯で開けるとソレを一護の下腹部に垂らした。
ヒンヤリとした感触に一護の肌が粟立った。
浦原の節くれだった指がその液体を一護の後孔に塗り込めた。

「ひっ・・・・・!」

指を一本増やし、二本の指で抜き差ししするとグチュグチュと激しい水音が二人の耳に届く。
自由になった両腕を浦原の首に巻き付けて、ひっきりなしに喘ぎ声を上げる一護に浦原は強引に口付けた。
歯列を割って舌を吸い上げ、その間にも一護の後孔を犯す。


「く、っひぅ・・・・・ああっ!!」


「もう、ソロソロいいかな・・・・・・?」


ズルッ、と一気に指を引きぬくとドロリとした粘液が糸を引いて落ちた。


「あ・・・・・・」

切な気な声を上げた一護に浦原は熱っぽい視線をやった。


「挿れますよ・・・っ」

一護の腰に手をやって、浦原は一気に貫いた。
熱い猛りが一護を犯す。

「ああっ!!」

息を詰める間も無く、一護は湧き上がる快感に達しそうになった。
ビクン、と吐精するその瞬間に浦原が一護のペニスをきつく掴んだ。
後少しというところで快感を塞き止められる。

「・・・・・なんでっ!?」

一護の眦にたまっていた涙がこぼれおちて雫が肌を滑った。

「挿れただけでイッちゃいそううになるなんて・・・黒崎さんてば本当にエッチですねぇ」

「ひっ・・・知らな・・・んっ!!」


こんな時にまでからかうように言ってきて、もう我慢の限界に達した一護は小さくすすり泣きをはじめた。
局部を浦原の腰にはしたなく擦り付けながら懇願するように泣いた。

「ああ・・・泣かないで・・・」


快感を与えるのも、それを止めるのも浦原なのに、翻弄されるばかりの一護はどうしようもない。
かぶりを振って浦原に続きを強請る以外には何も出来ない。

「うぅっ・・・ひっ、あっ・・・・」

「動いても、意識とばさないで下さいよ・・・・っ!」


浦原が激しく律動を始めると、一護の内壁がぎゅうと収縮した。
絡み付いてくる熱に浦原が息を詰めた。


「あ、あ、あっ・・・・!!」


ジュブ、ジュブッと淫猥な音が止む事無く漏れる。
腰を強く打ち付けて弧を描くように嬲った。
ガクガクと揺さぶられるような激しい刺激が肌を焼いた。


「浦原、うらは・・・らっ・・・・!!」

「ッ、黒崎さん・・・・・・」


浦原が一護をのペニスを戒めていた手を離して、腰を大きくグラインドさせて最奥を突く。
頭の中が、真っ白になってスパークする。


「う、んんっ・・・・!」

「・・・・・ぅ・・・っ]


篭りきっていた熱は、ほぼ同時に開放された。
お互いの精液が腹を濡らし、流れ落ちて草に飛び散った。



「は・・・・・・・ぁ」


熱っぽい吐息は混ざり合って夜の闇に消えた。
強く香る草の匂いが情交の残り香をより一層強くした。

まだ春にも少し早いのに、その夜は寝苦しいほどの熱帯夜だった。