まず出会いがそれほどいいモンじゃなかった。
色々あってその第一印象はほぼ最悪。
まぁ今の状態でそれを気にすることもないのだけれど。
それでも。
あの格好・・・下駄に作務衣、加えて視線を遮る変な帽子。
一人称は「アタシ」ときたもんだ。それに話し方もちょっと独特だし。
何が良くて俺はこんなヤツとお付き合いしてるんだろう。
そう、“お付き合い”。
いわゆる恋人同士なのだ。ソイツと俺は。
キミがキミだから
「なんで俺、アンタと付き合ってんだろう?」
「いきなり何なんっスか。黒崎サン。」
ポツリと零したセリフに、例の恋人―――浦原喜助が素早く反応した。
いきなり何だと俺の顔を見つめ、それからサァーと音がするように顔を真っ青にしていく。
「ま、まさかアタシのことがお嫌いに!?それは無いっスよね!・・・黒崎サン!?ねえ!黒崎サンってば!!」
両肩を捕まれぐらぐらと揺すられる俺。
コイツのあまりにも突飛な言い様に呆れてものも言えないでいると、余計に考えが悪い方へ進んでいったらしい。
なにやら物凄く必死だ。
ああ、視界がブレる。ちょっと酔いそう。
「浦原、揺するのやめろ。気持ち悪くなるだろうが。」
淡々と言うと、一応はそれにつられて落ち着いたらしい。
・・・いや、まだか。
ぱっと俺の肩から手を離したのはいいが、なんだか物凄くそわそわしているというか、落ち着きが無い。
しかも俺を見つめる瞳にはなにやら鬼気迫るものを感じる。
はぁ・・・と溜息をつけば、ビクリと震える肩。
情けない。
ホント。なんで俺、コイツと付き合ってんだ?
「とりあえず落ち着け、な?」
「これが落ち着いていられるわけ・・「俺が話してる途中だ。黙れ。」
「はい・・・」
しゅん・と小さくなる浦原。
俺が言うのもなんだが、年上の威厳はどうした。年上の威厳は。
「まずだな、俺はアンタのこと嫌いだなんて一言も言ってないぞ。早とちりしすぎだ、馬鹿。」
言った瞬間、浦原がパァアアと目を輝かせた。顔色も元に戻って幸せオーラ全開だ。
その変化に少々頭が痛くなったような気もするが無視して続ける。
「ただ、なんでアンタと付き合ってるのか疑問に思っただけだ。アンタ、自分のどこが好かれてるかわかる?」
俺の疑問に「んー」と頭を捻る浦原。アレかな・コレかな、と呟いている。
そうしてしばらく悩んだ後、アイツは口を開いた。
「・・・顔?」
・・・・・・・・・・・・・・・いや、うん。そうだな。
いっつも帽子で隠れてるけど、アンタって実は“少し”どころじゃ収まらないくらい美形だよな。
でもさ、普通そこで言うか?顔って。
それはアレか?俺はアンタの顔目当てで付き合ってるってことか?
そう思って眉間のシワを深くすると浦原は慌てて「・・・じゃなくてですね。」と付け足した。
「人を好きになるって言うのはどこが如何とかそういうものじゃないと思うんです。
そりゃァ第一印象・・・つまり見た目とかは結構重要かもしれませんが、だからってその人を好きになるわけではないでしょう?
顔が好き、性格が好き、色々ありますけど、
やっぱり“どこが好き”って言うよりは“その人だから好き”なんじゃないでしょうか。
・・・・・・って、まぁ。アタシが黒崎サンのことをそう思ってるからなんですが。」
もちろん黒崎サンは外も中身も素敵ですけどねーv・と言いながら浦原がニコリと微笑む。
・・・ああ、そっか。
俺、浦原だから好きなのか。
顔とか格好とか喋り方とか性格とかそんなもの一切抜きにして、浦原だから好きなんだよな。
当たり前なようで、ちっともそのことに気づいていなかった。
浦原は、俺が俺だから好き。
俺は、浦原が浦原だから好き。
―――その人がその人だから好き。
「浦原、アンタのこと惚れ直したよ。」
笑って言えば、大人が照れたように「ありがとうございます。」と微笑んだ。
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クオーター・クオーターの華糸さんから頂いてしまいました・・・!!!
あんな押し付け小説のお返しだなんて・・・もう死んでもいいかもしれない・・・・。
一護カワイイー、浦原さんステキーーーー!!!(絶叫
ありがとうございました!