仄かに染まる頬の色





ルークの背中と頭の後ろに回された大きな手が離れる。
それと同時にかわいらしい水音をたててくちびるも離れた。
息苦しさからか流れた水でゆらぐ緑青が何よりも綺
麗だとピオニーは思う。これ以上に綺麗な色は、世界中から上物の宝石を集めたとしても見つからないだろう。

(更に言うならこの涙がきもちよさからくる涙であれば重畳だ!)

 ピオニーはずるい人間だ。その自覚もある。
なぜならばピオニーは、ルークが一体どんな反応を返すか、それを予想した上で言葉を選ぶからだ。
笑ってほしいとき、よろこんでほしいとき、もしくはないてほしいときだってある。

(好きな子はいじめたいものなのだ)

 色々な顔が見たいと思うからこそ。
 予想を裏切られることもあるけれど、だからこそピオニーはルークが好きだと胸を
張って言う。いとしいのだ、と。最後にピオニーはルークの額に口づけて、それから
囁く。何度も。

「ルーク、  」