目が合った。と思ったらたったったっと此方へ駆けてきた赤い髪のこどもが、目の前で勢いよく転がった。

「…………」

呆気に取られ、何度か瞬く。
その間に転んだこどもはむっくと起き上がり、此方を見上げてにまっと笑った。

「ジェイドジェイドジェイド!」
「………なんですか」

たった今、顔から地面に滑り込んだというのに、このこどもはこんなにも騒がしい。
すりむけた鼻に目が行って、ジェイドはくっと笑いを堪えた。
にこにこにこと満面の笑みを浮かべるこどもは、ひょいっと身軽に起き上がり、ずいっと一歩前に進み出た。

「花! キレイだったから」

にこにこと笑う顔は土で汚れていて、差し出された真っ白な花を受け取ることも忘れ、ジェイドはくっくっと笑い出していた。

ああ、なんておだやかな昼下がり。