程よく日に焼けた肌に歯を立てれば、かみ殺したような悲鳴が真下から聞こえる。
痛みではなく、もっと違ったものが生まれ始めただろうことは想像に難くない。
目をぎゅっと閉じて、ただ受け入れることを甘受しているルークはふるふると震えていた。
まだ片手で足りるほどしかしていない行為は、ルークにとっては人生の中でまさにその数だけの慣れないものなのだろう。
どうしたらいいのか分からず、されるがままになっている。


「っ、・・・・んぁ・・・・」


白いシーツに広がった夕日色の髪にすら愛おしさを感じて、何度も口付けた。
指を差し入れて軽くかき混ぜてやれば、くすぐったいのか身をよじる。
ままごとみたいに甘ったるいのは、自分のカラーじゃないのに自然とそうしてしまう。
こちらもまだ扱い方を分かりきっていないのかもしれない。
どこまでしたら壊さずにすむのかが分からなかったから、らしくもないことばかりしてしまう。
壊れ物を扱うように大事に、ただ愛しみを与えるのはむしろガイのほうが似合いだ。
・・・なにかしらガイを引き合いに出してしまうのもこのところの癖であるのだが。
ただ、今のようなルークの顔をガイは見たことがないだろう。
そう思うとちゃちな優越感み満たされて、それだけで満足できてしまう。


「・・・っん、・・・ジェ、イド・・・」


「ルーク?」


声を漏らさないようにと唇に押し当てた手の甲をはずして、ルークは手を伸ばしてくる。
妙に幼い仕草は、まだ見慣れない。


「髪、ばっか・・・弄るな・・・バカ」


くすぐったい、とそういって視線をはずした。
ルークの手が頬に触れて、そのまま軽くひっかかれる。


「おや・・・感じちゃったんですか、髪弄っただけで?」


「っ!違うって・・・くすぐったいだけ!」


「ウソばっかり」


くすぐったいのはイイ所、とか言ったらこの初心な子供はどんな反応をするだろう。
ずっと長かった髪を短くしたせいか、それとも元々なのかは分からないが、ルークは首元がひどく弱い。
行為の最中は後ろ髪がうなじをくすぐると、たまらなそうに鳴くのだから。


「ウソつく悪い子には、お仕置きですよ」


反論する間も与えず、首元に軽く噛み付いた。
きつく吸って痕をつけてから、下でラインをなぞるように舐めた。


「ふぁ・・・っ、あ!・・・やぁ・・・」


とたんに上がる甲高い喘ぎ声、これではお仕置きにならないか。
少し考えてから、ふと思う。
こんなに気持ちよさそうにしているのに。


「ジェイドっ、!痕・・・だめだって言った・・・」


「大丈夫、襟で隠れるところですから」


ウソですけど。
絶対じゃなくて、ギリギリの位置に。


「それより、まだ余裕みたいですね・・・今日は随分とおしゃべりだ」


今まではおとなしく喘がされてただけなのに。
射精も知らなかった子供は、今まで泣いてばかりいた。
数をこなせば何事もなんとかなるものなのだろう、そろそろ調子を上げてもいいころなのだろうか?
たらたらと蜜をたらすルークの分身に手を触れる。
反射的に暴れだしそうになる体を左手で抑えて、あやすように口付けた。
まだ声の大きさを加減できないルークの口を塞ぐのも一苦労だ。
右手でルークを追い立てながら、熱い舌を絡ませあった。


「ん、ぅ・・・っあ、あ・・・!」


わざと淫猥な音を立てながらキスをすれば、ルークは目尻に涙をいっぱいためながらこちらに物欲しげな視線をよこす。
顔を羞恥で真っ赤にしながら、けれど体が続きを求めている。
誰に習わなくとも自然に相手を煽る仕草ができるのも、一種の才能だろうか。
できればこれからもその才能は自分ひとりのみに発揮してほしいものだ。


「ルーク・・・っ」


「ひゃっ、う・・・ん・・・!」


「イイ、ですか・・・・?」


声が掠れた、耳元で囁けばルークは何度も頷く。
こんなときばかり素直で、現金な子供だ。

動かしていた右手を止めて、ルークの目の前に持ってくる。
ルークの先走りで濡れる指を、つきだして。


「これ、舐めきったら入れてあげますよ」


「・・・ぇ、?」


とろけきった声で、目で、きっとぼやけているだろう視界。
けれどちゃんと分かっているはずだ。


「続き、してほしいでしょう?」


「ぅ・・・・、やっ・・・」


「ルーク。はっきり言わなければ分かりませんよ、お返事は?」


甘えていればすべて与えられるわけではないと、そろそろ教え込まなければならない。
躾けは早いうちにしてしまわなければいけないのだ、本来なら。
今すぐ喰らいついてしまいたい衝動を、抑える。


返事は言葉ではなく、たどたどしい舌使い。
ぺろり、と指を舐める。
ひよこというよりは、子猫だろうか。
我慢させられるのは、いつも大人のほうだ。

子供は何にも分かっちゃいない。



「ジェイド・・・」



こらえられないと、求められるように名前を呼ばれて、本当に助かったのは自分のほうだった。
ごまかすようにキスをして、シーツの海にいっそう身を沈めた。


朝はまだ、遠い。