嵐の去った朝の空は美しい。
暁の光が雲を裂いて現れる様はため息が零れるほど。
窓についた雨の雫が、ぴちゃん。
光にはじかれて落ちた。
差し込む光のまぶしさに、ルークがゆっくりと目を開けた。
「んー・・・ぁー・・・」
身じろぎをしようとして、けれど動けないことに気づく。
ぼやけている視界を明瞭にしようと、目をぱちぱちとしばたいた。
肩を抱きこまれている感触、体温。
「・・・・っあ」
目の前に、ジェイドの顔があった。
眼鏡を外して、静かに眠るジェイドの顔が息がかかるほど近くにある。
思わず悲鳴を上げそうになって、慌てて口を噤んだ。
(・・・ジェイドの寝顔、はじめてみた・・・かもしんない)
いつも自分より遅く寝て、早く起きるから。
ルークは今までジェイドの寝顔なんて一度も見たことがなかった。
(睫毛長い・・・綺麗だなー)
伏せられた目、頬に睫の陰がかかるのを見ると心臓が逸る気がした。
こんなことで一々どきどきしている自分が、妙に恥ずかしくなる。
自分から絡めるようにしている足も、抱かれた肩も、ぴったりとくっついて離れない。
ジェイドの背中に回している手を外すべきか、否か。
ルークはほんの少しばかり迷った。
そうして、上着を脱いで薄着になっているジェイドの背中に軽く爪をたてて、もう一度目を閉じた。
外の美しい景色よりも、愛しい人との朝寝を。
何よりもいとおしい時間を、あともう少しだけ。